うえだ眼科クリニックの
ブログ

新年あけましておめでとうございます。

2020年01月01日

 

皆様、新年あけましておめでとうござます。一昨年の2018年10月に下井草地域に開業して14ヵ月が経過いたしました。

 その間、多くの地域の患者様に来院いただき、通算人数で11467人の方が当院に受診され、外科的処置につきましては白内障やまぶたの手術、硝子体注射やレーザー治療等を含めると、通算479名(うち白内障213件)の方が当院にて外科的治療を受けられました。高齢化時代の令和となりますが、ますます地域の皆様に快適な”見える生活”をお届けできるよう、邁進したい所存です。今年も何卒よろしくお願い申し上げます。

うえだ眼科クリニック、12月24日の手術内容

2019年12月24日

本日、白内障手術4件(多焦点レンズ1件、乱視矯正レンズ1件込)+霰粒腫手術2件+眼瞼内反症手術1件、合計7件の手術を無事に終了いたしました。明日の皆さまの手術後の笑顔を楽しみにしています。

 本日は、2019年度最後の手術納めの日となりました。事故無く1年間手術を実施できたのは、事務長や職員をはじめ、クリニックを支えて頂いている多くの業者さんなど、多くの方の協力によるたまものと思います。来年度は2020年と言うことで、ますます多くの方に見える喜びを届ける事に邁進したいと思います。

第58回日本網膜硝子体学会総会に参加してきました

2019年12月09日

 院長です。先週はクリニックを休診にさせていただいて、長崎において2019年12月6日~9日に開催された 第58回日本網膜硝子体学会総会 に参加してきました。昨年度は開業したばかりで忙しくて参加することが出来ませんでしたが、さすがに新しい知識を得たいとのことで、地域の皆様にはご迷惑をおかけしましたが学会に参加させてもらった運びです。

 網膜硝子体学会は、眼の中の網膜に特化した学会発表や講演会などがメインの学会であり、網膜硝子体も専門分野とする身分として毎年参加していたのですが、やはり2年の期間をあけての参加となると新しい発表や、網膜の病気に対する新しい知見について色々と勉強できる機会であり非常に有意義でした。

 特にこれまで網膜外層の循環障害だけの疾患と思われていた ”中心性漿液性網脈絡膜症” が、網膜外層の脈絡膜に大きく依存して病気を変化させているような考え方が新しい機械の発達ともにわかってきたことや、網膜の血管や神経細胞の老化・再生の考え方なども勉強になり、こうやって、常に新しいことを学んでおかないと、昨日までの治療方針が180度違うものになっている時代ですので、勉強のために学会に参加する必要性を痛切に感じました。

 なお、長崎は日本にとっては広島についで原爆の投下された場所ということで、もともと防衛省で戦時中の勉強も少ししていた身分として、平和の祈念をこめて学会のお昼の合間に少しだけ抜け出して長崎平和公園を見学してきました。公園周辺にはところどころに原爆の被害についての表示もあり、当時の惨状をあたらめて怖いものだと感じるとともに、恒久の平和を祈念しつつ、まずは地域の皆様の目の健康と平和を守れるように、今後も勉強したいきたいなと、思った学会参加でした。

 有名な長崎平和公園の平和記念像。天に突上げた右手は原爆の脅威・水平に伸ばした左手は平和・横にした右足は原爆落下直後の静けさ・立てた左足は原爆の恐怖・薄く目を閉じた両目は犠牲者の冥福を祈っているとのことです。

”病診連携” と ”診診連携” について

2019年11月26日

さて、本日の霰粒腫手術については、”診診連携”紹介での当日初診+当日手術の患者さんでした。”病診連携”という単語は聞いたことがあるかもしれませんが、これは一般的に総合病院ー診療所間の紹介での連携という意味で、”診診連携”とは、診療所ー診療所間の紹介での連携という意味になります。

 簡単に言うと、個人のクリニックから、個人のクリニックへの紹介というのが診診連携ということです。大学病院や、総合病院は多くの専門のドクターが在籍していますので、個人のクリニックからの紹介があるのはわかるかもしれませんが、診診連携パターンとしては、個人のクリニックでも専門的な治療をしている施設や、当院のように手術にも対応している施設に対しての紹介というのが診診連携のパターンとなります。


 本日の方は、手術をされていないクリニックからの、手術適応と考えられた霰粒腫の手術依頼でした。一般的に”病診連携”の時は、紹介状をもらって受診したその日に手術が出来ることは少なく、後日に改めて手術の日程を計画することが多いと思います。しかし、当院は個人クリニックと言うことでスピード感も重視しておりますので、診診連携などでお電話を頂いた患者さんはなるべく初診で受診された、その日に手術をしてあげたいと言うことで、本日紹介されてそのまま手術となった感じです。


 私自身は防衛省や総合病院の部長として勤務していた経験上、組織の大きさに比例して、速度感を出すのが難しいと感じていたこともありますが、こういう時には個人で開業をしたことで、患者さんここにあった診療とスピード感を出すことができることはメリットであると感じています。


 もちろん、手術をすべきで無い人に手術をするわけにはいかないので、ある程度の診断がついた上で紹介される方限定の方法となりますが、現役で働いている方にとっては、少しでも通院回数を減らすことが出来るのはいいことではないかなと思っておりますので、今後もどんどん対応してゆく次第です。

【飛蚊症】と【ブルーフィールド内視現象】の違い

2019年10月30日

 こんにちは、うえだ眼科クリニック院長 上田至亮です。みなさんは、青い空や白い壁を見ている時、または普通に物を見ている時に糸くずのようなものがフワフワと浮遊しているのを見たことがあると思います。一般的には“飛蚊症(ひぶんしょう)”と言われる症状であり、目の中にある“硝子体(しょうしたい)”という、眼球の中を満たしている卵の白身のようなドロッとしたコラーゲンの塊に発生してくる加齢による“濁り“が原因です。

 当院は日帰り白内障手術を実施しているのですが、手術後によく見えるようになったためか、おそらく以前は白内障で見えにくかった“飛蚊症”を自覚するようになり、手術後にゴミのようなものが飛ぶ!とおっしゃる患者さんをたまに見受けます。もちろん、白内障手術後に起きてくる炎症によっても見えることがあるため、しばらくすると消失してくるのが通例です。しかし、ついこの間、手術を終えた患者さんから、手術を終えて炎症が沈静化しているのにも関わらず、青空をみると、虫が沢山動いているような症状があるという訴えがあり、“ブルーフィールド内視症“であったため、今回ブログに示してみることとしました。

 さて、表題にもある通り、【飛蚊症】と【ブルーフィールド内視現象】はいずれも、目の前にゴミのようなものが飛ぶ症状であり、生理的な変化に近いのですが、実はその原因は全く違っていて、見え方も違うというのがポイントです。

1、【飛蚊症】  飛蚊症は目の中の硝子体の濁りや、コラーゲン繊維の収縮したものが影となって網膜に光を投影する為、目を動かしたときに硝子体も同時にゆっくりと動きます。そのために大体は糸くずを見ようと、その方向に目を動かすと、硝子体もゆっくりと動くため、図1のように、糸くずが全体的に同じ方向に動くという特徴があります。従って、目を動かさないでいるとある程度は停止しているのが特徴です(うっすらとは動きます)。今回の患者さんは、目を止めてもあらゆる方向に、虫が動いているように見えるとの訴えでしたので、”飛蚊症“ではありませんでした。

図1 飛蚊症:糸くずが同時に同じ方向に動きます。

2、【ブルーフィールド内視現象】 では、どのような見え方だったかというのを再現したのが図2のような感じで、小さい虫のような透明な点があらゆる方向に不規則に動くという症状だったようです。これ、実は私自身も見えるのですが、“ブルーフィールド内視現象”と言われるものです。

図2  ブルーフィールド内視現象:虫のような透明な点がいろんな方向に動く

 下の図3は網膜の黄斑という物を見る中心部分を、当院にもある最新のOCTA(OCTアンギオ)という機械で撮影したもので、網膜の血管の走行を示す画像であり、黄斑の周りに細かく枝分かれした血管が密に走行しているのが観察されます(大きさは3mm×3mm程度です)。この血管には血液の成分である白血球や赤血球が栄養や酸素を運ぶため通っているのですが、実はこの虫の正体は【 白血球 】であり、白血球が血管を通るときに光をさえぎって見える影のため、血管に沿って白血球が動いた軌跡が見えるという訳です。ですので、目を動かさなくても四方八方に、虫が這いずるように見えるのがブルーフィールド内視現象の特徴であり、実は健康な人でも普通に見える症状です。ちなみに、この血管の太さは細い所では、ちょうど血球が一つ通れるくらいの太さで、白血球などは“スラッジ”といって、ドロッと動くような動きをします。

図3 中心の血管がない黄斑(生理的構造です)を囲うように毛細血管があります。ここを血球が動いて栄養を届けています。

 すなわち、白内障でよく見えるようになり過ぎたがゆえに、自覚するようになった症状という事で、患者さんに原因をお話しすると ”見え過ぎるようになっちゃったのね(笑)” と納得されていました。

 ただし、飛蚊症は網膜剥離などが起きて、目の中に汚れが増えると増加することもありますので、そういう意味では一つの病気とも言えますので、手術もしていないのに、急に飛蚊症がでたり、増えたりするようなことがあったらすぐに眼科にかかって“眼底検査“をして網膜をチェックしてもらってくださいね。