AI チャットあります!
2025年03月27日
こんにちは、うえだ眼科クリニック 院長 上田です。久しぶりのブログ更新となりましたが、表題の通り ”うえだ眼科クリニック” のHPに ”AIチャット” による質問相談受付を導入してみました。
昨今はAIがもてはやされていますよね。当院でも白内障の手術の時に、 ”V-Lynkシステム” というAIを併用した手術用のシステムも導入しておりますが、最近増えてきたAIチャットが24時間、患者さんからの質問に答えてくれるというのが利便性があるかなとAIチャットを導入してみました。お電話だけでは深夜には対応できませんので、24時間体制で常に質問できるAIチャットというのは患者さんへのサービスの一つになるのではと思っております。

詳細はHPの各画面に表示されます、上記の ”AIチャット相談はこちら” のバナーから質問をしていただけると、病気の話や当院で実施してる治療について、当院のイメージキャラクターの ”フク朗” が学習しながら、HPの内容を読み込んで、以下のように答えてくれます。

実のところ、アップデートすることで、より正確性が上がっていくとのことですので、今後色々と勉強させていく予定ですので、皆様も色々と質問して、活用してみてくださいね。
iStent inject®W:低侵襲緑内障手術(MIGS)併用の白内障手術の真価
2023年03月17日
こんにちは、うえだ眼科クリニック 院長 上田です。今回のブログでは当院で昨年から開始した、低侵襲緑内障併用(MIGS)白内障手術のお話をさせていただきます。
じつは去年の11月から開始したMIGSについては、一度私のブログで報告済み ”◎iStent(アイステント):低侵襲緑内障手術(MIGS)併用の白内障手術はじめました。(こちらをクリック)、” なのですが、当院ではすでに多くの患者様からのご要望により、アイステント併用の白内障手術開始から10例以上を経験して、アメリカ本社のGLAUKOSから認定される ”iSTENT Certification” を、当院の院長 上田 至亮 が頂くこととなりました。

では、低侵襲緑内障手術(MIGS)併用の白内障手術が、患者様にどのようなメリットがあるかという話を、最新の情報とともにお話をしてゆきたいと思います。
まず、当院で実施している、iStent inject®W は、いわゆる第2世代のステントということで、多くの臨床成績のデータが近年になって出てきています(第1世代は単に”アイステント”と呼ばれています。)。その中で、これまでは緑内障のステントを使用された患者さんでは、手術前より緑内障の点眼の本数を減らすことが出来たという報告や、もともと普通の白内障により眼圧は低下するという報告があったのですが、アイステントを併用することで、より眼圧を減少させることができるという報告も見られていました。
その中で印象的だったのが、第2世代のアイステントを使用することで7-8割の方が緑内障の点眼を減らすことができたたという報告(第78回眼科臨床臨床学会セミナーから抜粋)があったり、海外での報告では当院で使用している第2世代のiStent inject®Wのほうが,第一世代のアイステントよりも眼圧下降に優れているというデータ(guedes RAP et al Adv Thr 2019)もあるようでした。
また、白内障手術時にアイステントを入れた症例では、いったん緑内障の点眼はすべて中止して経過観察をするのですが、その後に眼圧が安定して、手術後に点眼を再開せずに済んだ症例については第1世代のアイステントでは70%であったのに対して、当院で使用している第2世代のiStent inject®Wを使用した症例については90%近く(第78回眼科臨床臨床学会セミナーから抜粋)が点眼を再開せずにすんでいるという報告もあり、より点眼の再開率が低くなっていると報告もされており、緑内障併用手術の器具としては、よりよい成績を残しているということが報告されておりました。
近年は、団塊の世代が退職後に充実した老後生活を送りつつ、より良い人生を求めて生活の質(QOL:Quarity of life)を高めることが求められている時代です。その中で少しでも点眼のわずらわしさから解放され、快適な老後を過ごすための一つの手段として白内障手術をするときの併用手段としての、iStent inject®W の併用手術が広がることで、少しでも皆様の人生のより良い視力の質:QOV(Quality of vision)が得られるに願っております。
ぜひ白内障手術を決められた際に、緑内障で点眼を使用されている患者様は、アイステント手術の適応について、担当医に相談されてみてください。
V-Lynk(術中イメージガイダンスシステム:ORA SYSTEM™ with VerifEye™ Lynk)の実力
2023年01月12日
皆様こんにちは、上田眼科クリニック院長 上田です。新年あけて、さっそくの手術始めを先日実施いたしました。無事に手術も終了して、今年度も安心安全な手術を目指そうと思っている次第です。
ところで、昨年度から当院で稼働している、デジタル手術支援システムである”V-Lynkシステム”の手術データがそろそろ出始めましたので報告させていただきます。V-Lynkはこちらのページ(こちらをクリック)、に詳細を書いておりますが、簡単に言うと白内障の手術中にリアルタイムに目のデータを計測して、AIによりレンズの度数を決めたり、乱視矯正が必要な場合は、乱視の矯正軸や乱視の矯正度数をAIを利用して求めることで、手術の精度をより高くする目的で導入している機材となります。
今回は、当院での白内障手術時における、乱視矯正の結果のデータが出たのですが結果から言うと、V-Lynkを導入したことにより乱視矯正の精度が高くなったというデータが見られました。

上のグラフは2017年に、以前勤務していた荻窪病院の眼科部長時代に、私が日本臨床眼科学会で発表した白内障手術時における、乱視の強さに応じた術後の乱視矯正データのグラフで、以前は乱視矯正の軸を手術室に入る前に患者さんの目に ”手で直接マーキング” をすることで ”術前の予想値” で乱視矯正をしていたのですが、その結果のデータです。グラフから分かるのは、手術後に見られた乱視矯正効果については、ある程度乱視矯正はできても、そこそこの乱視(生活には支障ない程度の乱視である-1.0ジオプター ~ 少し強めの乱視である -2.0D程度)が残ってしまっていました。もちろん、乱視矯正をすることにより、乱視矯正をしないよりは、患者さんにとって術後の視力の安定につながっていました。

ところが、上のグラフは当院でV-Lynkシステムを併用した白内障手術の術前・術後の乱視矯正結果のデータですが、かなりの正確性で乱視矯正ができているという結果となりました。(75%以上の症例で-0.25ジオプターと軽い乱視が残っただけで、ほぼ100%で上記と同じ-1ジオプター以内に収まっていた。)
私自身、使い始めてどの程度の正確性があるのか心配だったのですが、結果を見るとかなりの精度を誇っているという事でした。また、こちらの機材の会社の担当者さんによると、当院の乱視矯正の精度は世界レベルでも高い水準にあるということで、今後も安心して使っていける結果が得られました。
まだまだ、V-Lynkは全国で60台、都内では20台程度と稼働の少ない機材ですが。患者さんのためにも先進の技術を駆使して、精度の高い白内障手術により少しでも患者さんが笑顔で ”よく見えます!”とお話しされるのを願って引き続き頑張っていきたいと思います
新年のご挨拶
2023年01月01日
新年あけましておめでとうございます。
うえだ眼科クリニック 事務長 上田麻衣子です。
皆様におかれましては、健やかに新春をお迎えの事とお慶び申し上げます。 当クリニックも開院から5年目を迎え、旧年中は術中に白内障の手術時にレンズ度数をリアルタイムで測定し、AI(人工知能)によりレンズの度数の選択が可能となるV-Lynkシステムや、緑内障治療のためのアイステント(MIGS:低侵襲緑内障手術)の導入等、患者さんのニーズに応えられる眼科を目指し、新たな試みの一年でありました。
また、運営面の強化としまして、私事ですがビジネススキルアップを目指し、数カ月間、マネジメントの講習として40回のWEB講義、8回の実践トレーニングとテストを無事に終了しました。更なるクリニック運営の根幹の強化に生かしてまいりたいと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。
今年の干支の兎は活動的で躍動や飛躍の象徴とされています。今年も一層、皆様により良い医療を提供できるよう、当院の明るく行動力のある職員とともに、うえだ眼科クリニックとしてチーム一丸となり、地域の皆様に寄り添い、愛される眼科を目指して精進していく次第です。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
院長 上田 至亮
事務長 上田 麻衣子
職員一同


◎iStent(アイステント):低侵襲緑内障手術(MIGS)併用の白内障手術はじめました。
2022年11月10日
こんにちは、うえだ眼科クリニック 院長 上田です。今回のブログですが、当院で2022年11月より開始しました低侵襲緑内障手術併用の白内障手術のお話をさせていただきます。さて、では低侵襲緑内障手術というのはどういうものかといいますと、iStent(アイステント)(図1)といわれる、微小な金属の ”ステント” といわれる器具を白内障手術をするときに目の中に留置する手術となっていて、この手術は最近流行りとなっている、低侵襲緑内障手術(MIGS : micro invasive glaucoma surgery)という、手術に分類されております。

●アイステントって?
では、そのアイステントはどういうものかというと、緑内障を治療するために使われる医療機器で、医療用グレードのチタン合金でできています。このiStentを眼の中の組織に埋め込むことで、房水(ぼうすい)と言われる、目の眼圧を調整する液体の排出循環を改善し、眼圧を低下、安定することが目的です。当院で使用しているアイステントの手術は白内障手術と同時に行うものです。白内障手術では小さな切り口を作りますが、白内障手術の最後に、その小さな切り口からiStentを挿入して、繊維柱帯という眼の組織に埋め込みま(図2)すが、痛みを感じることはほとんどありません。

なお、アイステントは2014年から全世界で20万眼以上に使用されていて日本でも2017年から認可され、日本眼科学会の指導の下の講習会を受講し、アイステントに関する技能や手技に伴う合併症等の知識を得た医師のみが行える治療です。
●利点と安全性、そして危険性について
この手術は白内障手術と同時に行い、挿入に要する時間は5分程度で済みますので、少ない侵襲で術後の回復が早い上に、眼圧を下げる効果が期待できます。また手術後に眼圧が下がること(個人差はあるものの緑内障点眼1種類分:1年後で3~8mmHg程度の減少)で、緑内障治療用の点眼薬の数を減らせる可能性がありますので、緑内障の点眼治療中の患者さんにとっては、点眼の数が減ることで点眼の手間から解放されたり、医療コストの削減にもつながるメリットがあります。ただし、全ての緑内障が適応になる訳ではなく開放隅角型の緑内障が適応になります。なお、安全性として、有害事象として報告されているのは、出血や炎症、目の違和感、ステントの詰まり、一過性の高眼圧や低眼圧などとなっております。
以上、当院で開始した新しい治療のお話でした。詳細についてご興味あるかたは、ぜひ診療の時にでもお尋ねくださいね。眼科の手術は日々進化しており、新しい機材や手術方法がどんどんと開発されていますので、これからもそれらを勉強しつつ、常に最新の医療を皆様に届けたいと思っておりますので、今後もよろしくお願いいたします。