うえだ眼科クリニックの
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パソコン作業(VDT作業)と眼精疲労の話

2019年06月11日

近年スマホやパソコンによる動画配信、情報伝達などが主な情報交換の手段となっており、老若男女関わらずパソコンに関わる機会が増えていると思います。特に、仕事でのパソコン作業は毎日の作業となっている方もく目の疲れ(=眼精疲労)を感じたかたもいらっしゃるでしょう。

 では、なぜ眼精疲労が起きてくるかについてですが、近くを見るときは目の中にある毛様体筋と言われる筋肉が収縮することで水晶体(=目の中のレンズ)を変形させて手元を見ています。スマホやパソコン作業を長時間するというのは、まさにその筋肉が持続的に緊張している状態、言い換えれば筋トレでバーベルを持ち続けているような状態になっているわけです。そのために目の筋肉が緊張し続けて、眼精疲労がおきてくるわけです。従って眼精疲労をおきにくくするためには、作業の時間を減らせば良いのですが、そのほかにも眼が疲れる原因はいくつかあります。

 それが姿勢や労働環境といったものです。みなさんはパソコンに向かう自分の姿勢や作業の時間を意識したことはありますか? 実は、パソコン作業はVDT作業(=Visual Display Terminals)といわれていて、東京労働局等でも姿勢及び労働環境に注意喚起が必要であるとされている労働作業となっています。

 当院院長の上田はもともと防衛省での勤務経験の関係で、産業医も取得しており、かつ眼科医ということもありVDT作業の労働環境について、これまで勉強していたお話を今回はしてゆきたいと思います。

 

さて、上記にあげた東京労働局からは、新VDT作業ガイドラインのポイント(https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/jirei_toukei/anzen_eisei/toukei/anzen-vdt.html 参照)がでており、こちらでは作業の環境の管理と作業時間についての推奨がされていて、端的にまとめると

 1,作業環境管理について:室内は、できるだけ明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにしてディスプレイの照度は500ルクス以下にしつつ、画面は反射予防に留意する。

 2,作業時間管理基準について:1時間以上の連続作業をする場合は、作業間に10-15分の休止をもうける。

等となっています。これらは労働環境衛生に関わる問題ですので、会社が積極的に是正できるように環境を整えて下さいという勧告になっているわけです。

では、個人レベルで眼精疲労をどうやって予防するかという点で、VDT作業に対して大事なのは姿勢ですので、私なりの解説をしてゆきましょう。

●モニターについて

1,モニターまでの距離は40-50㎝ → 近すぎると調節力を使うため、眼精疲労の原因となります。また、適切な距離を置くことで猫背になることを防ぎ、背筋などの緊張を緩和します。

2,モニター画面は水辺線よりやや下に設置する → モニターが水平以上の場合は、目を開け続けることになり、それによりドライアイを引きを起こしやすくなるため、やや下がおすすめです。

●姿勢について

3,肘の角度は90度 → 肘を生理的に楽な位置に置くことで肩こりを予防

4,両足はしっかり床に付いている姿勢を椅子で調節 → 正しく足を地につけておくことで、余計な力がかからず、疲れが出にくくなる。

5,背筋をぴんと伸ばして猫背にならない → 姿勢を正すことで、肩こり、腰痛を防ぎ、肩こり等からくる筋緊張性頭痛を予防できる。

というところです。ほかにも、長時間作業の後はストレッチをして体をほぐしたり、パソコンで使用する文字のフォントサイズを大きくしたりすることでも、眼精疲労を軽減させらえるとも考えられます。

皆様パソコン作業大変かと思いますが、適度に休息をとって、お仕事がんばって下さいね。