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多焦点眼内レンズの最終進化型!?連続焦点型レンズ “テクニスシナジー(TECNIS Synergy)” 登場!!

2021年06月03日

皆さん、こんにちは うえだ眼科クリニック院長 上田至亮 です。

 前回は海外からの輸入レンズである焦点分散型最新の5焦点眼内レンズの “INTENSITY” のお話をしましたが、今回のレンズは深度拡張型である ”テクニスシンフォニー” の進化型レンズともいわれる、連続焦点型レンズ ”テクニスシナジー” を今年4月から当院でも導入を始めましたので、そちらのお話をしてゆきたいと思います。

 簡単には当院のHP ”多焦点眼内レンズ(老眼矯正眼内レンズ)(こちらをクリック)” にも説明がありますが、ブログではもう少し掘り下げて実際の見え方や新しいテクノロジーの話をしてみましょう。では、まずレンズの具体的な特徴を考察してゆきましょう。

★連続焦点型レンズの5つのポイント
  ①焦点拡張型(EDOF)レンズと2焦点眼内レンズのメリットを融合させた最新レンズ
  ②手元約30cm~遠方までの連続した広い明視域をもつ連続焦点型
  ③眼全体の色収差を低減により良好なコントラスト感度を維持して暗所でも視力良好
  ④乱視矯正の対応が可能
  ⑤夜間の異常光視症(ハロ・グレア・スターバースト)はあり
    では、一つずつ説明してゆきましょう

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①焦点拡張型(EDOF)レンズと2焦点眼内レンズのメリットを融合させた最新レンズ

 テクニスシナジーは従来の焦点深度拡張型(EDOF)レンズであるテクニスシンフォニーと、2焦点型レンズであるテクニスマルチを組み合わせた、連続焦点型レンズとして設計されおり、二つのレンズのいいところを融合させたハイブリッドレンズとなっております。

②手元約30cm~遠方までの連続した広い明視域をもつ連続焦点型レンズ

 その特徴は読んで字のごとく、焦点が連続的になるようにデザインされており、手元約30cm~遠方までを、裸眼(めがね無し)で0.8以上の視力が出るスペックを持つのが特徴です。

 これまでの3焦点レンズは手元の焦点距離が40cmでしたが、これは大柄な欧米人にとってはそれほど気にならない数字かもしれませんが、体形が小さめの日本人にとってはもう少し近距離が見える方がいいとも言われてきましたので、日本人向けのレンズともいえるかもしれません。

 連続焦点型レンズ、3焦点レンズ、深度拡張型レンズ、2焦点レンズ、単焦点レンズの距離別見え方と眼鏡装用頻度イメージです。

③眼全体の色収差を低減により、良好なコントラスト感度を維持して暗所でも視力良好

 通常これまでの多焦点レンズでは光の分散によるエネルギーロスのため、視力のコントラスト低下が指摘されていました。当院でも使用している3焦点多焦点レンズのパンオプティクスでは、そのエネルギーロスを少なくすることでコントラスト低下の回避に貢献してましたが、テクニスシナジーでも、以下の図のように、通常の明所での瞳孔径3㎜(左図)に加えて、瞳孔径が大きくなる暗所での瞳孔径5㎜(右図)でも、3焦点眼内レンズと比較してもコントラスト感度が良好であることを特徴としています。

 明所に比較して暗所では3焦点眼内レンズのコントラスト感度が落ちています。

 これはテクニスシナジーレンズに用いられている、以下の“ChromAlign™ Technologys”といわれるデザインにより瞳孔径に依存せず、低照度下においても鮮明な視機能を維持できるようになっていて、そのメリットとしては、薄暗い屋内やレストランでも文字が読みやすいといったのが特徴です。。

右の画像のように収差を補正する機能が無い場合、赤色から青色までの光が光の屈折差により分散することでコントラストが低下しますが、シナジーではそれを補正する機能が盛り込まれていることで、左図のように収差を減らすような働きがあります。

④乱視矯正の対応が可能

 もともと乱視がある方の大半は、“角膜”に乱視があるためにものを見る時に、二つに見えたりゆがんで見えたりする、これが乱視による視力低下です。白内障手術は水晶体を除去してレンズを入れるので、角膜のゆがみまでは補正できません。

 それを可能にしたのが、乱視矯正レンズという事で、こちら(こちらをクリック)” のページにもあるとおり、当院ではよりよい視力をお届けするために乱視矯正の白内障に力を入れていて、このテクニスシナジーは乱視矯正にも対応したレンズとなっております。

 せっかく多焦点眼内レンズを入れるのであれば乱視矯正もしっかりできるレンズということで、この点もおすすめできるレンズという事です。(なお、乱視矯正が必要かどうかは担当医の判断になりますので、乱視が心配な方は担当医とよく相談されてください。)

⑤夜間の異常光視症(ハロ・グレア・スターバースト)はあり

 これはどの多焦点眼内レンズにも言えるのですが、広い明視域を持つがゆえに、光が散乱してでるハロ・グレア・スターバーストはどうしても出るようです。ただし、それを紫波長の光をカットすることで、まぶしさを低減する機能もあるためか、ある程度日常の生活レベルには支障がないようです。

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以上が、テクニスシナジーのまとめとなり、簡単にまとめるとメリットとしては以下の通り

 という事ですね、正直な話、これ以上のレンズをモデリングしようとしても、さらなるデメリットなども出てくるような気もしますし、今回のテクニスシナジーは多焦点眼内レンズの最終型に近いレンズという印象を持っています。

 いずれにしても、担当医とよく相談した上で単焦点眼内レンズも含めて、ご自身にあったレンズを決めていただき、皆さんのQOV(=Quality of Vision:視覚の質 )が向上することを祈っております。

最後にテクニスシナジーの紹介の動画を入れてみました。参考までにどうぞ