うえだ眼科クリニックの
ブログ

霰粒腫(さんりゅうしゅ)の手術について

2019年05月14日

 ”まぶた”が腫れると、民間的な名称としては”ものもらい”として表現され、目の周りがころころと腫れて、場合によっては痛くなることがありますが、正確に表現すると細菌感染が主になっている”麦粒腫”、と”まぶた”の油の腺が詰まって炎症を起こすために発症する”霰粒腫”というのがあります。

画像はwikipediaより引用

 本日の手術は”霰粒腫”の手術でした。霰粒腫の原因としては、瞼の縁にあるマイボーム腺といわれる、目に”あぶら”を分泌して乾燥を防ぐための腺が、加齢や、お化粧、季節の温度なので”あぶら”が固くなって詰まる → 中に”あぶら”が溜まって腫れるという事で発生する病気です。そのまま、中にたまった”あぶら”が風船のような形状を形成してしまって残留する為、触ってみると瞼の一部がゴムボールの様に腫れているけども、痛くない。という症状が出ます。

 そういったとき、眼科で処方されるのが炎症を抑える点眼や軟こう、場合によっては瞼に炎症を抑える注射をすることで改善を促すことがあります。

 ただ、上記のように風船になってしまった組織ですので、なかなか外に”あぶら”が出ていかなという事で、長期間残ってしまって縮小しないという事が多いのが現状です。ほっておいても、それほど感染を起こして痛くなるという訳ではないため、問題ないともいえるのですが、やはり見た目の問題で、腫れあがった瞼がみっともないという事があります。また、場合によっては癌との鑑別が必要なこともあり、切除に踏み切ることもあります。

 本日の患者様も、以前よりコロコロしたものがあるが、痛くはない。でも、手術でとることはできないか、という事で近くの内科の先生よりご紹介いただいた方でした。最初は、悪さをしていないという事で経過を見ていたのですが、やはりご本人もみっともないとのことで切除を希望されたため切除に踏み切った感じです。

 手術自体は、皮膚に麻酔を注射して(ここが一番痛いところとなります)、瞼に切開を入れて中身を、スプーンのような機械で綺麗に掃除します。

 さらに、この病気は再発しやすいといわれていますので、私の手術の考え方としては風船上の組織を極力残さないように除去するといった感じで周囲を少し大きめの切除をしております。手術は無事に終わりましたので、明日の患者さんの感想が待たれるところです。

----5月16日追記----
翌日患者さんが再診され、傷口の確認をしました。どうしても出血が皮膚の下にたまってはいましたが、当日はほとんど痛みもなく、翌日見た段階では瞼のふくらみが綺麗になっていました。こういう時の患者さんの喜ばれる表情が私の仕事の励みです。

うえだ眼科クリニック、4月23日の手術内容と眼瞼痙攣

2019年04月23日

本日、白内障手術4件、眼瞼痙攣(けいれん)に対するボツリヌス注射1件を無事に終了いたしました。 明日の皆さんの手術後の笑顔を楽しみにしています。

 当院では、眼瞼痙攣に対するボツリヌス注射をしているのですが、これって実は美容整形で用いられている注射で、ボツリヌス菌という細菌の神経麻痺させる毒素だけを抽出して、弱毒化(弱めた物)したものなのです。毒素というからには、神経の間に働いて麻痺させる毒なのですが、実は皮膚などのしわが改善するということで、女性のしわとりとして実施されている美容形成は多いと思いますので耳にしたことはあるのではないでしょうか。

 眼科領域では、眼瞼痙攣というまぶたの周りが不随意(無意識)でけいれんするために目が開けられなくなる場合に眼の周りに注射して症状を改善したり、最近は子供の斜視の治療として試用されることが認められています。保険適応ですので、適切な価格で受けられるのですが、適応となるかどうか診断が必要となりますので、ご興味のある方はお近くの眼科で相談してみてくださいね。詳しくは当院HPの眼瞼痙攣のページでお話ししたいのですが、現在作成中ですので、しばらくお待ちください。

白内障における水晶体嚢拡張リング(CTR)について

2019年04月21日

 2019年4月18~21日 日本眼科学会総会が、東京国際フォーラムで実施されました。そのなかで、21日の最終日に実施された“白内障における水晶体嚢拡張リング(CTR)講習会”に院長が参加いたしました。

 さて、水晶体囊拡張リング(CTR : capsular tension ring)が何かというと下の通りのプラスチック(正確にはポリメチルメタクリレート=PMMAといいます。)で出来た手術機材となります。通常は白内障手術の時に使われるのですが、どういったシーンで使用されるか本日はご紹介させて頂きます。

 通常、白内障手術の方法としては、濁ったレンズを除去するために、水晶体囊(すいしょうたいのう)という水晶体を覆っている袋だけを残して中身だけを吸い取ります。 その後に、水晶体嚢の中に人工眼内レンズ(IOL)を移植します。(下図参照)水晶体嚢はチン氏帯という細い糸のような組織で眼の中につるされてハンモックのようになっているのですが、何らかの眼の病気のために、チン小帯が弱かったり、一部切れていたりすると、水晶体を吸い出したり、人工眼内レンズを入れる時にチン氏帯がすべて切れてしまうという合併症が起こる可能性があります。

 そのようなときに使用されるのが、今回私が講習会で勉強してきた水晶体囊拡張リング(CTR : capsular tension ring)です。一部のチン氏帯が断裂している場合に手術中にCTRを挿入することにより、手術の安全な遂行が可能となり、IOLの長期的な眼内安定性が保持されることになります。海外では昔から使われていたようなのですが、近年になって日本でも使用されるようになってきており、HOYAから国内承認の物が発売されております。

ただし、使用条件があり、簡単に言うと

 CTRの実施医基準:白内障手術を 100 件以上経験し,眼内レンズ挿入術に習熟している者 http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/ctr.jsp 日本眼科学会、CTR使用ガイドラインより抜粋

となっており私の場合、基準は満たしておりますので、使用のために必要な講習会にて現状の使用例などの勉強をしてきました。

 眼科の先人たちが様々な試行錯誤で作成していった手術デバイスのおかげで、今日の患者さんの視力が保たれているというのは、たゆまぬ医学の発展のために努力している先生方の功績と思います。その努力に答えたく、地域の眼科医療に貢献してゆきたいと思います。

ーうえだ眼科クリニックロゴのフクロウについてー

2019年04月03日

当院のロゴとなっているのは、見たままのフクロウなのですが、やはりロゴという事で、由来があったりします。

1、フクロウの名前には、”福郎” と ”不・苦労” があるという事で、患者さんの皆様の視力に福があり、見え方で苦労をされないようにという気持ちを込めております。

2、フクロウは、暗闇での狩りが得意!ということで、夜目が効いて目がいいフクロウをロゴとすることで、皆様に最良の視力を届けたいという気持ちを込めました。

3、最後に、個人的事情ですが、元防衛省で勤務していたということで、医師としての数年を北海道の地で過ごしたことがあります。その時に阿寒湖のアイヌコタンでみたフクロウの彫像がかわいく、私の子供も含めて家族皆がフクロウが好き、というのがありました(下の写真のシマフクロウです)。フクロウは、北海道の先住民族アイヌの中で”コタンコロカムイ”=”神の使い”だという事で、当院のクリニックの守り神ともなっていただきたいと思ったのがきっかけです。その中で、子供たちにフクロウをもとにロゴの素案を作らせたたところ、思いのほか可愛いフクロウが出来上がったので、それをもとにロゴを作成したというのがあります。

かわいいフクロウが、皆様の幸せと、うえだ眼科クリニックを見守ってくれて、より良い視力を皆様に届けられますように、頑張りたいと思います。

阿寒湖にあるアイヌコタンという、アイヌの民族文化を展示する集落の一画にいるシマフクロウです。
https://ameblo.jp/ossobuco/entry-11352949568.html  様より転載
当院のロゴです。実は文字が入ったバージョンもあるんですよ。

ご挨拶 ーはじめまして、院長の上田ですー

2019年04月02日

 令和の新年号と共に、装い新たに当院のホームページを更新するにあたり、眼科の医療情報も皆様にお伝えしたく、ブログを開設する運びとなりました。初めての作業となりますので、何分不慣れですが、皆様に役に立つ眼科情報を提供させて頂いたり、うえだ眼科クリニックの情報を載せていこうかと思いますので、よろしくお願いいたします。