1. 先天性鼻涙管閉塞症(狭窄症)とは
人間の角膜(目の表面)には血管がないために、その表面に栄養を届けるために流れるのが涙です。そのために、人間の涙というのは24時間分泌され続けているのですが、その多くは目の表面を栄養したあとに、表面から蒸発して乾燥するわけではなく、涙点(るいてん)という目頭にある2カ所の穴から吸収されて、鼻涙管(びるいかん)を通って鼻の奥に流れていきます(図1)。人が泣いたときに鼻水がでるというのは、涙が鼻に流れていくのが原因です。ところが、この鼻涙管が生まれたときにふさがっていると、本来鼻に流れていくべき涙が流れきらずにあふれてくる症状が出ます。これが、先天性鼻涙管閉塞症です。原因としては、お母さんのおなかの中で鼻涙管が作られるときに、うまく通り道ができないことに由来すると考えられています。
2. 症状
生まれた直後や、生まれてしばらくたってから、泣いていないのに常に目に涙がたまっている等の症状がでます。また、鼻涙管が閉塞しているために、その閉塞した部分に雑菌がたまって増殖することで、”めやに” が持続的に出たりします。ただ、お子さんによっては半年ほどで成長にともない涙道が大きくなったり、涙道が開通することで症状がなくなってくる子もいます。
3. 治療法
(1)点眼
生まれた直後で鼻涙管閉塞症の診断がつきましたら、当院ではしばらくは涙道洗浄という処置をすることで、眼の感染などを引き起こしにくいようにしつつ、経過観察させていただきます(写真1)。理由として、半分くらいのお子さんで、半年から1歳の間に鼻涙管閉塞の部分が自然開通して症状がなくなることがあると言われているという点と、生まれた直後は鼻涙管が小さすぎて涙道の処置により思わぬ合併症を生じたりする可能性があるからです。ですので、当院では半年ほどは”めやに”があるときは点眼で経過を見ていただき、半年以上たって症状がなくならないお子さんには、以下に述べる処置を実施します。なお、それまでの期間は目頭付近を1日数回マッサージする涙嚢マッサージという方法もあります。
(2)涙道ブジー
ブジーというのは、体内の特定の組織を拡張する処置を指す医学用語なのですが、実際に涙道に先端を丸くして組織を傷つけにくくした鉄の細い棒を(これをブジーといいます)挿入することで、機械的に狭くなったり、詰まったりしている涙道を開通させる治療です。開通後は一度しっかり通れば涙やめやにが少なくなりますが、お子さんによっては一時的に涙に血が混じったり、場合によっては涙道ブジーを数回繰り返す必要がある場合もあります。
4. 病気の経過について
先天性鼻涙管閉塞症(狭窄症)は目の中の病気ではなく、表面的な病気ですから、治療をしないことで直接的に失明したり、視力が出ないと言うことはありません。ただし、放置しておくと慢性涙嚢炎、急性涙嚢炎といった感染性の病気を引き起こしたりすると日常生活に支障が出る場合がありますので、定期的な経過観察と症状に応じた治療が必要ですので、担当医とよくお話をされてください。
5. その他の病気
生まれたばかりのお子さんを育てるのはいろんな環境の変化もありご家族も不安だと思います。その中で眼科として、しっかりお話しした上でご家族に最大限協力できますようお話をさせていただきますので、お気軽にご相談ください。
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